まえがき

ジムカーナってなんだ?

練習会に行ってみよう。

次は競技会だ。

ライセンスを取ろう。

ハマっちゃったあなたに。

快適ジムカーナのススメ。

▼付録

慣熟歩行のセオリー

国内競技車両規則(抜粋)


ハマっちゃったあなたに。

ジムカーナは普段乗っているクルマでも参加できるのが「ウリ」だが、実際には完全にノーマル状態ではより速く走るために役不足な部分が多々ある。
別に全員がノーマルならそれでもOKだが、より速く、より楽しくという要素を追求していくと、車両をそのために改良していくという方向に向かう。ただし、競技としての「公平性」と「安全性」と保つために、きちんとルール化される。

競技での走行というのは、一般道での普通の運転とは違う領域で行われる。これはやはり車両にとっては相当キツい状況だ。したがってトラブルも当然出てくる。
こうした部位を補強するためにも改造は必要になってくるし、改造部位が増えると整備する必要も増えてくる。
そのためにも知識と工具をはじめとした道具は必要だ。

一方、ジムカーナは競技であると同時に趣味でもあるから、楽しく過ごさなくては意味がない。そしてこの楽しさを味わうには一人ではなく仲間がいた方がいい。
仲間や自分よりも速い選手と切磋琢磨することによって自分も速くなり、速ければ楽しく、また上を目指すこともできるだろう。

 

 

●車両を改造する
――ジムカーナに向いたクルマ作り

「練習会に行ってみよう」のページでは、「まったくのノーマル車両でも参加できるのがジムカーナの良さだ」と書いた。
もちろんこれは事実だ。実際ほとんど全く改造が許されない時代も、かつて自動車競技界にはあったのだ。
しかし、市販状態のクルマと言うのは、あくまで「一般道を移動するための機械」として設計・製造されており、「より速く走る」ために存在していないことも一方では事実である。

こうして競技車両はそれぞれの競技専用に改造を施すようになるわけだが、ここで「公平性」と「安全性」と保つために作られたのが「国内競技車両規則」と言われるものである。
レースに使われるマシンやジムカーナ用のマシンなど、全ての競技車両が施していい改造部位をキチンと明文化している。

さて肝心のジムカーナにおける車両は、改造度合いによって以下の4種類に分けられる。

  • 登録番号標付競技車両・N車両
  • 登録番号標付競技車両・B車両
  • スピードSA車両
  • スピードSC車両
  • スピードD車両
このうち登録番号標付競技車両・N車両およびB車両、SA車両は「ナンバー付き車両」、つまり法定車検に合致していなければならない。
一方SC・D車両は、それよりも多くの改造が出来る代わりに、ナンバーを切り、公道を走ることが許されない競技専用車となる。
実際のところ最初からSC・D車両でジムカーナをはじめる人は少なく、主流はN、SA車両及びB車両だ。

1996年まではかなり狭い改造範囲に限定されていた車両規則も、社会の流れに乗り次第に拡大されて来た。
2002年度までは、ナンバー付き車両の主流は「スピードA車両」と呼ばれ、2003年度以降の規則で言うところの「SA車両」に極めて近いものであったが、全日本選手権を中心に車両の改造・維持費の高騰を招いたため、2003年度からはより改造範囲を絞ったN車両が設定された。
SA車両は従来のA車両を当面使用できるようにするための暫定的車両区分。
B車両はこれらとは逆に、陸運局の車検に通れば何でもOKという車両だ。

これらの車両それぞれについて、詳細な規定を説明するのはとても難しい(^^ゞ。参考までに2004年度の競技車両規則の抜粋を挙げておく。
驚くほど細かい規定があって驚くかもしれない。
しかし、先に説明したように、車両の公平性を保つためには、これらの規則を理解した上で、それらに合致した車両で参加する必要がある。規則の内容や解釈に疑問があれば、JAFモータースポーツ局などに確認し、また、車検の際には自分のクルマが競技車両規則に合致していることを証明する義務が生じる。
公平性を保つということは非常に大変なのだ。

さて、最終的には選手各々が規則を読んで理解しなくてはいけないが、大まかなところを解説しよう。
重ねて言うが、詳細についてはショップ等に相談していただき、規則の厳密な解釈については、JAFモータースポーツ局に確認する必要がある。

N車両
  • マフラー、エキマニ、エアクリーナーボックス、インテークパイプ、ボンネット、トランク、バンパー、コンピューターの交換不可。エンジンの改造不可。
  • クラッチは純正と容量変更不可、フライホイール変更不可。トランスミッションのギア比変更不可。
  • 足回りはアッパーマウントも含めピロボールの使用は不可。ヘルパースプリングの使用は可。
  • タイヤサイズはカタログ記載サイズより幅10ミリ、サイズ1インチアップまでのサイズ規制あり。
  • 最低重量はカタログ重量−(ガソリンタンク容量×1.73)までの重量規制あり。

    SA車両
  • コンピューター交換不可。エンジン改造不可。
  • 足回りはヘルパースプリング使用可。
  • タイヤサイズはカタログ記載サイズより幅10ミリ、サイズ1インチアップまでのサイズ規制あり。
  • 重量規制あり。

    B車両
    陸運局での法定車検に合致している車両。

    SC車両
  • 2002年までのC車両。ナンバーを切り、積載して運ばなくてはならない。
  • 改造規定は多岐に渡るため省略(^^ゞ。
  • スリックタイヤの装着が不可となり、Sタイヤのみ。ただしサイズ規制はない。タイヤのウォームアップも禁止。

    D車両
    安全規定さえ満たしていれば、改造はほぼ無制限の車両。一からシャーシを製作することも可。当然ナンバーなし。スリックタイヤ装着・ウォームアップ可。

  • こうして見るとN車両はコスト抑制という点では極めて中途ハンパな改造規定であり、おまけに重量規制はともかくタイヤサイズ規制により、純正サイズが小さ目の車両は、それだけでポテンシャルを失ってしまうという実に理不尽な車両規定となっている。
    また、2002年までのA車両規定に合致させた車両を所有する大半の選手は、N車両に合致させるためデチューンに余計な費用をかけるか、車両を買い換えなければならないという事態に追い込まれた。昨今の不況期におけるかような大改正は多くの選手に混乱を生んでいる。

    全日本選手権は、ナンバー付き車両としてはN車両に主流が移りつつあるが、地方選手権以下、特に都県戦では、逆にB車両中心のクラスが浸透するなど、大きく様相が変わっている。

    さて、ジムカーナではこれらの車両別に、排気量別に車両の区分が分けられ、基本的にはこれらのクラス毎に競うことになる。
    地区戦・全日本選手権については、JAFの規定により以下のようなクラス区分が設定されているが、それ以下のイベントについては規定はなく、シリーズによって自由に決定することが出来る。
    クラス名 条件
    N1クラス 排気量1,000cc以下の2輪駆動・4輪駆動のN車両
    N2クラス 排気量1,000cc超の前輪駆動のN車両
    N3クラス 排気量1,000cc超の後輪駆動のN車両
    N4クラス 1,000cc超の4輪駆動のN車両
    S1クラス 1,600cc以下のS車両(SA,SC)
    S2クラス 1,600cc超の2輪駆動のS車両(SA,SC)
    S3クラス 1,600cc超の4輪駆動のS車両(SA,SC)
    Dクラス 排気量区分なし

    これらはあくまで「全日本・地区戦」用のクラス区分なので、実際のところ、例えば関東では、JMRC関東および傘下の各都県はそれぞれ独自のクラス区分を設定している。

    例えば、JMRC千葉ジムカーナシリーズの2003年クラス区分は以下のようになっている。
    クラス名 条件
    N2クラス 2輪駆動のN車両
    N4クラス 4輪駆動のN車両
    B2クラス 1600cc以下の2輪駆動のB車両
    B2クラス 1600cc超の2輪駆動のB車両
    B2クラス 4輪駆動のB車両
    BNT2クラス 2輪駆動のノーマルタイヤによるB車両
    BNT4クラス 4輪駆動のノーマルタイヤによるB車両
    BLクラス 女性ドライバーによるB車両
    Dクラス D車両

    このように、各シリーズで参加者のためにいろいろと工夫しているのである。
    特に都県戦は、今までジムカーナをやったことのない人が参加しやすいように、タイヤサイズや重量その他複雑な改造規定を気にしなくて済む「B車両」をメインに据えるところが多くなって来た。
    確かにB車両ではともすると“改造競争”となり、A車両よりも車両製作・維持の高騰化が懸念されるが、ジムカーナは最終的には腕の勝負で決まる要素が多く、加えて間口を広げる方がジムカーナ全体にとっては有用であるとの認識に基づいている。

     

    ●車両を改造する2
    ――ジムカーナに向いたマシン作り

    上記のように色々と車両規則はあるのだが、仮にN車両といえど規則いっぱいまで車をいじろうとするのはかなり大変だ。
    そこでここでは、とりあえずこれくらいはやった方がジムカーナを楽しめるだろう・・・という点を中心に、必要な改造個所を見てみよう。

    お勧めベーシック改造箇所


    ショックアブソーバー
    ショックアブソーバーは、車両の動きを決める要素としてはきわめて重要な部品だ。次項のスプリングと合わせて、車両の基本的な操縦特性を決定づける。ジムカーナ用にセットアップされたモデルが発売されており、基本的にはそれらを使う。
    ドリフトなどのストリート用とは、見てくれは似ているが中身は全く違う。競技に特化した減衰力特性がキッチリと設定されている。最近は車高調整式が主流だが、これも「車高を下げるため」としか思っていないトンチンカンな誤解とは全く無縁で、本来の目的のために必要に応じて使われるようになった。
    代表的なところでは、なんと言っても「スーパーオーリンズ」が有名。これは、オーリンズをベースに、全日本チャンピオンを何度も獲得したチューナー・川村徹氏が、一台一台設定した絶妙のサスペンション。

    スプリング
    これも車高調整式が主流になるにつれ、直巻型のものが使われるようになった。やはり車高を下げるために、レートを無視して自由長の短いバネをつければいいというようなアホな発想はなく、想定される荷重や狙った動きを分析して、必要なバネレート・自由長が設定される。
    まぁ通常はショックとコンプリートで買うことができる。

    ブレーキパッド
    ジムカーナ用のプレーキパッドは、有名なブレーキパッドメーカーからは必ず発売されている。素材別に「ノンアスベスト」「メタル」という違いがあるが、基本的には「メタル」をお勧めする。
    ジムカーナ用とストリート・サーキット用との決定的な違いは、サイドターンを前提としたリアブレーキの特性だ。サイドターンの時には確実にロックし、フットブレーキの時にはブレーキバランスを崩さない。また、冷えた状態からでも即効くように作られている。
    ジムカーナはなんつってもサイドターンが出来ないと面白くない。でもって、普通のブレーキではサイドターンは極めて難しいのだ。

    クラッチ
    圧着力や材質を強化したものに交換する。高い回転からのクラッチミートを繰り返すことが多いので、ノーマルクラッチでは焼けてしまう可能性が高い。特に自動車メーカーによっては、ノーマルクラッチの容量の余裕が少ない場合があるので、けっこうあっという間に壊れてしまう。

    L.S.D
    決して合成麻薬のことではない(笑) 「Limited Slip Differencial Gear(差動制限機構付きディファレンシャルギア)」のことである。LSDの機構と機能については省略する。全然見えるパーツじゃないのに部品代も作業工賃も高いので、ホントにその金額にふさわしい意味があるのか、実に分かりにくい部品だ(^^ゞ。 しかし、競技やるならこれがないと話にならない。「高い割に意味わかんねーっすから」と装着していなかったストリート系の人が、LSDを装着して初めて走った時の第一声は、たいてい「ズルイっすよこれ」である(笑)。

    エンジンマウント
    これはたぶん「え?」と思う部品(笑)。どうしてエンジンマウントの交換が必要なのか、普通の人・・・いやかなり詳しい人でもよく意味が分からない。でも、LSDを装着したFF車の場合、特にこれは重要だ。
    LSDを装着し、後述するSタイヤを履いて走行すると、今までよりもロスなくパワーが路面に伝わる。ということはその反力も強くなるということだ。つまり、エンジンが揺さぶられる力も大きくなる。エンジンが駆動方向と反対側に動けばその分だけパワーのロスになる。
    さらに、FF車の場合、エンジンがぶれ過ぎるとドライブシャフトに負担がかかり、ジョイント部が砕けることがあるのだ。

    エアクリーナー・マフラー
    ※注:スピードN車両はエアクリーナーボックスおよびインテーク、マフラー、エキマニの交換は出来ません。
    まぁ、これは詳しく言うまでもないね。今どき、ちょっと走りの好きな人なら、マフラーくらい替わってない方が珍しい(笑)。でも、ジムカーナ場は排気音量にはシビアなので、必ずサイレンサーは必須。それでもうるさいと走行を断わられる場合もある。

    フルバケットシート・4点式シートベルト
    リクライニングしないとちょっとね・・・なんていうナンパな人には無理かもしれないが、フルバケットシートは競技走行するなら基本だと思った方がいい。前後左右に通常とは全く違うレベルのGがかかる状態で、体幹部がキチンと固定されていないと、正確な操作など出来るはずがない。また微妙なGの変化や車両の姿勢変化を感じることも無理だ。同様な理由で4点式シートベルトもお勧めする。シートに体を縛り付けて固定する意味もあるし、万が一の場合にも安全だ。
    これも安いものではないが、キチンとしたものを買うこと。「BRIDE」なら安心だろう。ベルトも、量販店で安売りしているような、腰ベルトと肩ベルトが繋がっているタイプはお勧めしない。万が一という時に脱出出来ない可能性がある。フルハーネス式(真ん中のバックルすべてのベルトが固定されるタイプ)を推奨する。

    ステアリングホイール
    これは好みなので、別に純正ステアリングでも全然いいと思う。個人的には、グローブをして握った時の太さがちょうどいい「ナルディ・クラシック」がお勧め。

    Sタイヤ
    セミスリックタイヤと言われているものである。タイヤ自体の骨格構造、ゴムの質からして全く違い、普通のお店で売っている高い高性能ラジアルタイヤと呼ばれるタイヤよりも遥かに性能が高い。グリップが驚異的に高い反面、やはりすぐに減ってしまうため、そのランニングコストの高さから、最近は一般ラジアルタイヤを使おうという動きがある。しかしながら、一度はこの信じがたいグリップ力を駆使して、未体験のコーナリングスピードを体験してもらいたい。で、一度体験するとやめられなくなる(笑)
    一応溝はあるので、公道の走行も可能といえば可能。ただし乗り心地は最悪だしすぐに減ってしまうので要注意(^^ゞ

    これくらいの改造を施せば、かなりジムカーナを楽しむことは出来るだろう。

    こうした改造は、出来るところは自分でやった方が安く上がるが、そうは言っても工具や設備がなければ出来ないことも多いし、素人が手を出して壊してしまうおそれもある。やはり肝心なところはプロに任せるのが無難だ。
    PD誌などに載っている、モータースポーツに精通したショップなら安心だろう。こういったショップは車両規定の事も知った上で改造を勧めてくれるし、競技車両を作るノウハウも豊富だ。
    最近では各ショップがお勧めメニューを組んだ「コンプリートカー」を発売していることもあり、コストパフォーマンスから考えるとかなりオトクなものも多いから、検討してみる価値はあるだろう。

    ところで、モータースポーツを続けて行く上で、このショップという存在は必要不可欠、なくてはならないものだといえる。
    モータースポーツにおいては、車両の改造だけでなく、故障や破損なども日常的に起こり得るから、こうしたショップと懇意にしておくことは「主治医」を決めるとの全く同じだ。

    また、ショップはマシンの面倒を見てくれる主治医だけではなく、交流の場として機能することも多い。
    いつ行っても誰かが用もなく溜まっている(笑)、なんてのは良く聞く話だ。集まっているのは当然車とモータースポーツが好きなワケで、しかも速い選手もいたりする。
    同じショップでメンテナンスしてもらっているということで、実際ジムカーナ場に行って困った時などでも、助けてくれたりすることもある。モータースポーツにのめりこめばのめり込むほど、このショップというモノの存在は非常に大きく、そしてありがたいものになるのだ。

     

    ●工具と道具を揃えよう
    ――トラブルはつきもの!?

    競技走行というのは実にクルマにとっては過酷な環境だ。
    通常使わない回転域までエンジンを常用するし、エンジンが回るということはそれを駆動する各部にも負担が掛かると言うことだ。発生する熱も大きく、伝わってくる衝撃や振動も大きい。
    こんな苛酷な環境に常時置かれているのだから、そりゃ壊れない方がおかしい(笑)。

    走行不能になるようなトラブルは、キチンと普段からメンテナンスしておけば、そうそう起こるものではないが、やはり何かあった時のために、対処出来るだけの工具はぜひ持っていたい。
    また、壊れた場合だけでなく、各部のセッティング変更や交換などを行う機会は増えてくる。こうした際にも必要な工具があるかどうかで、作業の効率は大きく違ってくる。

    実際、やっぱり経験が長くウマイ人ほどトラブルにあった経験が多く(笑)、工具も充実している。
    N、SA、B車両の場合は、改造度合いから考えてエンジン本体が破損するなどの致命的なトラブルに見舞われることは少ないから、それほど重装備ではないが、ドライブシャフトの交換やショックアブソーバーの交換が出来るくらいの工具は、たいていの上級者の人は持っていたりする。

    こうした工具は、いつどういう工具が必要になるかはその部位によるので、ここですべて例をあげるのは難しいのだが、主なところでは以下のようなものだろう。

    • メガネレンチ(8mm 〜 21mm程度)
    • ラチェットレンチ
    • ソケット(8mm 〜 19mm程度)
    • プライヤー、ラジオペンチ
    • ハンマー
    • ドライバー各種
    • スピンナーハンドル
    • 六角レンチ
    • クロスレンチ
    こうしたものは最初はセットもの工具でもいいと思うけど、強度が弱かったり使い勝手が悪かったり、またボルトやナットに対するかかりが悪かったりと、いろいろ不満が出てくるもの。いっぺんに揃えるのは大変だけど、しだいに買い換えて行くといいだろう。

    この他、便利な道具としては以下のようなものがある。

    ・油圧ジャッキ
    なにせタイヤ交換をする機会が多くなるので、純正車戴工具のネジ式パンタグラフジャッキじゃ、効率も悪くて疲れてしまう。そこで登場するのが「フロアジャッキ」または「シザースジャッキ」だ。
    「フロアジャッキ」は量販店でも売っているので手に入りやすい。ちょっと重いのが最大の難点。
    「シザースジャッキ」は、普通の量販店ではあまり売ってないが、複数のメーカーが出している。パンタグラフ式の形状だが油圧で駆動するので、非常に軽量・コンパクトながら、操作も軽い。車戴するには非常に便利だ。

    ・リジッドラック
    通称「ウマ」。ジャッキアップしたクルマの下に潜って作業する際には、必ず「リジッドラック(ウマ)」を用意すること。
    クルマの下敷きになって亡くなる人は、年間何人もいるのだ。

    ・牽引ロープ
    お世話になることもあるかもしれないし(笑)、友達を助けてあげることも出来る。

    ・ブースターケーブル
    まぁ、万が一の道具です。
    これらの道具を持っていたとしても、クルマの構造を知らなくては話にならない。
    とはいえ、競技をやっていると、最初は全然クルマの事を知らなくても、また「機械おんち」を自称する人でさえ、必然的に詳しくなってくる。
    機械を操って走る競技である以上、速く走るためにはクルマの機構を分かった上でドライブしないとダメ・・・・という部分は、やっぱり必ずあるものだ。どういう構造で動くものだから、どういう風に使ってやれば効率よく走ることができるか・・・・そういうことまで考えながら走るようになる時がやってくる。
    色々なトラブルを解決していくのも競技ドライバーとしての立派な経験となるだろう。(と言いつつ、きくりん選手はメカが苦手である)
     

    ●クラブに所属しよう
    ――仲間と情報を得る

    実は1998年まで、ライセンスは原則としてJAF登録クラブに所属していなければ取ることが出来なかった。「原則」というのは、ライセンスを取った年とその翌年は、クラブへの入会を保留できる「仮登録」という制度があったからだ。
    クラブといっても平坦なイントネーションで呼ばれる「くらぶぅ〜」ではなく(寒・・・(-_-;))、「自動車を通じた活動を行っているクラブ」である。

    しかし1999年からはこの要件が撤廃された。クラブに所属していなければならないという義務はなくなったのだ。
    これにはライセンス保有人口の減少傾向が止まらないという事情があるらしいが、確かに見ず知らずの世界から見るとちょっと足を踏み入れにくい「クラブ」を、必ずしも通さなくてもいいという方法は、ひとつの選択肢ではあるだろう。

    しかし、モータースポーツを続けるためには、お金だけでなく情熱が必要だ。
    また規則や技術といった情報も知る必要がある。
    参加するだけでなく、自分達でイベントを開催してみるという経験も必要だろう。
    しかし、それには仲間が必要だ。

    こういった「仲間」や「情報」を得ることが出来るのが「クラブ」の最大のメリットである。
    実際のところ、同じクラブだということでトラブルの時に助け合ったり、互いに切磋琢磨して競い合ったりと、クラブに所属することによるメリットと言うのは非常に大きい。

    クラブについては雑誌などでも紹介されたり募集しても行っているし、実際にいろんなクラブのホームページがあるので、詳しくはそちらをご覧になった方がいいが、JAF登録クラブと呼ばれるものにもいくつか種類がある。

    『準加盟クラブ』
    10名以下の規模の小さいクラブで、友人や同好の人同士で自然発生的に作られたクラブが多い。
    『加盟クラブ』
    20名以上の比較的大きなクラブで、JAF公認イベントを開催出来るのは、この加盟クラブ以上のクラブになる。
    準加盟クラブよりも多くの仲間が集まった場合や、ショップをメインにしたクラブなどが多い。
    『公認クラブ』
    人数も多く、イベント主催経験なども多いクラブで、歴史も古く規模も大きいところが多い。
    どれがいいかということは言えない。
    それぞれの競技に対する取組みとか、雰囲気の合う合わないもあるからだ。
    一般的に見て入りやすいのは「ショップ中心のクラブ」や「大きなクラブ」かもしれない。友達がいるクラブなら紹介してもらうのも手だね。
    練習会や競技会に参加して、いろんな選手が所属しているクラブの情報などをもらい、参考にして選択するというのが非常に有効な手段だろう。
    一応参考までに、筆者・きくりんが所属しているクラブ「レーシングチーム・ファンタジー」を紹介しておこう。
     

    ●どうせなら勝ちたいよね
    ――シリーズを追ってステップアップ!

    プロではない我々にとっては、ジムカーナはあくまで趣味の領域を出ない。
    しかし、やはり「競技」を始めたからには勝ちたいと思うのは自然な考え方だ。
    やはり正々堂々と実力を出し切って勝つことは、人間の本能として非常に嬉しいことだ。そして、より高いレベルに戦いを挑み、そこで勝利を収めたいと思うのも、自然な欲求である。

    ジムカーナは前述した通り初心者イベントから全日本戦まで、層が厚いヒエラルキーを形成している。
    速い人は上のレベルのイベントにステップアップしていき、果ては全日本という到達目標がある。
    ステップアップとは言っても、別にJMRC戦や地区戦に出場するのに、明確な出場制限というものはない。だから別にいきなり地区戦にエントリーしてもOKと言えばOKである。
    しかしながら、とても勝負にならないレベルで戦ったところで面白いわけはないね。
    それに、主催者には参加者を選別する権限があるので、実績によっては参加を拒否される場合も、ないわけではない。

    たいていの場合、一年を通して何回か行われる、あるシリーズ戦を通じて良い成績をおさめなければ、なかなか評価はされない。イッパツ屋ではダメということだ。
    だから、ステップアップを目指す人はとりあえずシリーズを絞ってそこで勝ちつづけ、シリーズで優秀な成績を残すことを考えるといいだろう。
    しかし、ある程度参加して実績も自信もついてきたら、思いきって上のレベルのイベントに出てみる・・・これがステップアップを果たす第一歩かもしれない。

    そうはいっても、別に勝つことだけ、ステップアップするだけがジムカーナの楽しみ方じゃない。
    一番大事なのは自分のイメージした通りに車を操れるようになること、走ることが楽しいと感じることだ。

    実際のところ、上のレベルに行けば行くほど、勝負の質は濃く熾烈になって、マシンに対してもシビアな競争になってくる。
    つまり、比例してお金がかかるようになってくるということだ。
    自分の出せるお金との相談・・・この点がステップアップの大きな障害となっていることが多い。
    しかし一方で、そういう障害を、強い意志で乗り越えることができた者が勝ち残る・・・
    モータースポーツは、楽しい世界と厳しい世界が、現実として並立している勝負の世界でもある。

    華やかな全日本選手も、みんな同じように苦労して現在に至っている。
    しかし、努力を怠らなければいつしか彼らの居るところに手が届くかもしれない・・・
    決して手の届かないところにいる「展示品」に終わらないところが、Bライ競技の良さなのだ。
    日々練習して精進し、勝ち進んでいつかは全日本を目指そう。

     


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