まえがき

ジムカーナってなんだ?

練習会に行ってみよう。

次は競技会だ。

ライセンスを取ろう。

ハマっちゃったあなたに。

快適ジムカーナのススメ。

▼付録

慣熟歩行のセオリー

国内競技車両規則(抜粋)


ライセンスを取ろう!

練習会で虜になり、競技会で快感を覚えてしまったら、これはもう、ライセンスを取るしかない。

大丈夫。
ライセンスというのは世の中のイメージほどたいそうなものじゃないのだ。
初めて練習会に行く時のドキドキに比べれば、どーってことはないし、運転免許を取るようなお金も手間もかかるようなものでもない。

もちろん、ライセンスがなければジムカーナは出来ないのか?となると、そんなことはない。
確かに練習会にはライセンスは必要ないし、競技会でもクローズドクラスには必要ない。でも、練習会はやはり練習会以上のナニモノでもないし、競技会のクローズドクラスというのはライセンス取得を前提とした言わば入門クラスという位置付けであることが大半だ。

やはり本格的にモータースポーツを始めようと思ったら、ライセンスを取っておいて損はない。
ということで、次にライセンスの取り方をみてみよう。

 

 

●ところで誰が発行してるの?
――ロードサービスだけが仕事じゃない

よく世の中で「Aライ」とか「Bライ」とか聞く。
芸能人でも「Aライ持ってます」なんていうと「お〜〜っ」とか一目置かれてしまう。
でも、一体「ライセンス」ってなんなのさ。
これが意外と知られていない。だから勝手なイメージも一人歩きしている。

「ライセンス」とは『競技運転者許可証』のことだ。

そして、発行しているのはなんと、クルマに乗っている人ならみんな知ってる、あの『JAF』(日本自動車連盟)なんである。

「あのキーを閉じ込みしちゃた時とか故障した時に来てくれるJAFが?」と思う人も当然いるだろう。
そう。でも、JAFなんである。

実は各国にJAFのような組織がある。
この各国の組織が国際的な組織として作ったのが『FIA』だ。
「FIA」と聞くと知っている人もいるかもしれない。そう、あのF1を統括している団体だ。
つまり「FIA」というのは、全然我々に関係のない遠い組織ではなくて、みんなが知ってる「JAF」の大親分なのだ(^^ゞ。

「FIA」は各国のJAFのような組織の連絡機関というだけでなく、F1をはじめとしたモータースポーツの統括も行っている。
これは、モータースポーツというものをスポーツとして普遍的なものにするためには、各国バラバラな規則でなく、野球やサッカーなどと同じく統一したルールの下で行わなければイケナイという理念に基づくものである。
F1だけでなく、各種フォーミュラやツーリングカーレースの規格、サーキットや装備、車両の安全基準などを決めているのもぜーんぶFIAなのだ。
JAFをはじめとした各国の組織はこの統一したルールの下で、各国の事情に応じモータースポーツを統括しているんである。

しかし、そういったルールは『法律』じゃない。
だからそのルールを守ってモータースポーツをやる人は、それぞれの組織の会員となってそのルールを守ることを義務づける、という形になる。
そしてこの時に「ちゃんとルールを知って守ります」という証明として発行されるのが『ライセンス』なのだ。
ハイ、やっと答えが出てきたね(笑)。

JAFの仕事はロードサービスだけではない。こんな事までやっているのである。

 

運転、ウマくないけど・・・
――技能は関係ないい

「ライセンス」を持っているだけで「おーっ」と感心してしまうのは、マスコミに植え付けられた大きな誤解だ。
ライセンスというのはあくまで競技に参加するための「許可証」なんであって、技能を証明するものではないからだ。

特に「Bライ」(いわゆるB級ライセンス)などは、競技経験を全く問わない。取得方法は次項で述べるけど、取得するのは簡単だ。
「Aライ」だって別に技能を証明するわけではなく、公認競技に1度以上参加したことがあるかという競技経験と、主に安全を期するために必要な規則を把握しているかを見る試験、それに従って実際に走行出来るかどうかを見る実技が行われるのみである。

大まかに言うと、「Aライ」はレース、「Bライ」はそれ以外の競技用のライセンスである。
この違いは、同時に多くのクルマが混走するかしないかの差であるといえる。「Bライ」にプラスして、混走に必要な最低限の知識と技量を確認したのが「Aライ」に過ぎない。

だから「俺はAライ持ってるぜぇ〜」なんていい気になっているエエカッコしいは、逆に鼻で笑ってやるのがもっとも適当な対処法である(爆)。
運転技能が高いかどうかは、ライセンスの有無ではないのだ。

従って、免許取りたてであろうと運転に自信がなかろうと、ライセンスを取得するということに関しては、全く気にすることはない。
モータースポーツに参加するためのチケットを買うつもりで、臆せずチャレンジしてみよう!

 

それじゃぁ取ってみよう。
――取るにはいろいろ方法がある。

ライセンスを取得するためには、前項でも触れたけど「JAF」の会員であることが必要だ。これは前提ね。(最近は限定Aライセンスというものあって、これはJAF会員である必要はないらしい・・・けどこれは割愛)
また、ここで説明する「ライセンス」の取得法は、「Bライ」の話だ。

さて、ライセンスを取得するにはいくつか方法があり、現在のところ取得方法は3つある。

  • 座学で講習を受けてライセンスを申請する。
  • クローズド競技に出場し出走記録を貰ってライセンスを申請する。
  • JAF登録クラブに推薦してもらう。
これらのいずれかでライセンスは取得できる。
それでは順を追って説明しよう。

まず、「座学で講習を受けてライセンスを申請する」という方法だが、これがイチバン一般的な方法だと思われる。
JAF登録クラブが主催してくれる「講習会」に申し込み、2時間ほどの講義を受けた後、JAFに対してライセンスを申請するというものだ。

講義は主に安全規定や車両規定など、最低限必要な知識をテキストを使って教えてくれる。2時間ではほんの概要しか出来ないが、ちゃんとルールを知った上でライセンスを取りたいという人にはお勧めだ。

講習会開催の情報はいろんな所で手に入る。
まずはおなじみの「PD」誌、その他JAFの会員なら毎月送られてくる「JAFメイト」にも日程が載っている。また、JAFのホームページにも「Bライ講習会案内がある。
これらでチェックして申し込めばOKだ。
親切にも土日や夜に開催してくるクラブも多いから、社会人でも無理なく受けることが出来るだろう。

次に「クローズド競技に出場して出走記録を貰ってライセンスを申請する」という方法だ。
 「競技会に出てみよう!」でも紹介したが、競技会には「クローズドクラス」というライセンス不要のクラスが設定されていることがある。
これらの競技会に出場し、「確かに出走しました」という『出走証明』を主催者にしてもらうことによって、ライセンスを取得する権利が発生するのだ。言わば実地訓練というやつである。
競技への参加方法は「競技会に出てみよう!」を参照してもらいたい。
競技にいきなり参加するのはチョット勇気が必要だが、そんなに難しいものではない。
ただし、注意することがひとつ。場合によっては主催者がイベント当日ライセンス申請用紙を用意していない場合があるので、念のためあらかじめ「ライセンスを取得したいので、申請用紙を用意してもらいたい」旨を申し出ておくとカンペキだ。

最後が、「JAF登録クラブに推薦してもらう」という方法だが、これは読んでそのまんまである(笑)。
ただし、その推薦してもらう根拠が必要だから、やっぱり何らかの経験が必要となる。
したがってその経験を積むためには前項の「クローズド競技」に出場するのがイチバン早いということになるだろう。
それ以外では、例えば“かつてはライセンスを持って競技会に参加していたが、しばらく休んでライセンスも切らしてしまった後、再びライセンスを取ろう”という場合にはこの方法が使える。

申請用紙自体にはそれほど難しい欄はない。
現在のライセンスには写真が入るので、インスタント写真で顔写真を2枚用意しよう。
また、最初はあんまり勧めないが、ライセンスに載せる名前は「仮名登録」と言って、必ずしも本名と同じでなくてもいいので、読まれにくい漢字の名前の人などは平仮名登録するという手もありだ。芸能人などはこれを利用して芸名でライセンスを取得できるわけである。
ただし仮名登録を行ったら、競技の世界での名前はすべてそのライセンス名になるし、JAFの判断でその名称は拒否されることもある。

申請は基本的に窓口に持参して行うが、郵送でも可能だ。
現金書留に、申請用紙と必要なお金、郵便切手を貼った返信用封筒を入れて、各地区のJAFに送ればいい。
各地区のJAF窓口は、ライセンス申請用紙にも記載されているし、JAFのページでも参照できる。

こうして申請用紙を提出すると「仮ライセンス」が発行される。
窓口ならその場で発行されるし、郵送なら送られてくる。
写真入りの本ラインセンスは製作に時間がかかるので、「仮ライセンス」はそれまでのツナギのライセンスという位置付けになる。しかし、有効度はホンモノと全く同じだ。
1ヶ月くらいするとちゃんとホンモノのライセンスが送られてくる。
これで晴れて立派な「ライセンスホルダー」となれるわけだ。

ライセンスの下ではどの選手も対等。
F1ドライバーだってライセンスのランクは違うけど同じライセンスホルダーなのだ。
こう考えるとF1やWRCといった競技も、また違う観点から見る事が出来るので、結構面白い。
ライセンスを取ってから、いかに速く走るかはドライバー自身の仕事である。
ひたすら精進して全日本をめざせ!

 


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