▼おことわり
このページに記載されている「JAF国内競技車両規則」は、きくりんが独自に抜粋・転載したものであり、JAFによる公式なもので
はありません。誤字・脱字、あるいは記載ミスがある可能性があります。また、それらによって被ったいかなる損害・不利益についても、一切の責任を負いかね
ます。
第2章 スピードP車両規定
- 第1条 安全規定
-
- 1.1)配管類
-
- 1.1.1)配管類の保護
- 燃料およびオイルとブレーキ配管は、外部からの損傷を受けぬよう(飛石、腐食、機械的損傷等)、すべてを考慮して保護策を
とら
ねばならな
い。また、室内
には絶対に火災を発生させない配慮を必要とする。
- 当初の保護物をそのまま維持するのであれば追加の防護は不要であるが、防音材および防振材等を取り除くことにより配管や配
線類
が露出する場
合には適切な
る保護策を講じなければならない。
- 1.1.2)仕様および取付け
- 取付けは下記の仕様に合致していなければならない。
- 1.1.2.1)液体用配管
- 液体用配管を車室内に通すことは許される。しかし、クールスーツ用等の冷却水パイプ、ブレーキ用配管を除き、これらの
パイ
プを車室内で連結
してはならな
い。
- 隔壁においては、第2−1図および第2−2図にしたがって配管してもよい。
- 1.1.2.2)燃料および潤滑油用配管
- 最低破裂圧力7MPa(70bar/1000psi)と、最低作動温度135℃(250°F)を有していることを推奨
す
る。
- 柔軟なものである場合、これらの配管はネジ山のついたコネクターとし、摩擦と炎に耐え得る(燃焼しないもの)外部鋼材
を有
していることを推
奨する。
- 1.1.2.3)油圧液用配管
- 重力下の配管を除き、最低破裂圧力7MPa(70bar/1000psi)またはそれ以上の圧力と、最低作動温度
232℃
(450°F)を
有しているこ
とを推奨する。
- 柔軟なものである場合、これらの配管はネジ山のついたコネクターまたは自動的に密閉されるコネクターと、摩擦と炎に耐
え得
る(燃焼しないも
の)外部鋼材
を有していることを推奨する。
- すべての配管、配線は暫定的なものであってはならず、グロメット、コネクター、およびクランプ等を含め十分安全性の高
いも
のにしなければな
らない。
- 1.2) 安全ベルト
- すべての車両にFIA公認安全ベルトの使用を強く推奨する。
- 4点式安全ベルト等(フック式、固定式)を追加装備する場合、安全ベルトはワンタッチ式フルハーネスタイプとし、日本、EEC、米
国いずれ
かの安全ベル
トに関する規則、法規に適合し、かつ第4編付則「ラリー競技おようびスピード行事競技における安全ベルトに関する指導要項」および下記条件に従うこと。な
お、安全ベルトの「Y」タイプは4点式とみなす。
- 1)既設の安全ベルト(3点式等)を変更することなく、4点式安全ベルト等に取付けられているフックを用い容易に既設
の安全ベルト取
付け装置
に着脱できる
構造の4点式安全ベルト等を追加装備すること。
- 2)4点式安全ベルト等は競技走行中のみ装着することが許される。したがって、それ以外の通常走行時は既設の安全ベル
ト(3点式等)
を装着す
ること。
- 3)安全ベルト装着による乗車定員変更は許されない。
- 1.3) 消火器
- すべての車両に消火器の装着が推奨される。
- 1.3.1)手動消火装置
- 手動消火装置とは消火装置単体をドライバー等が取外して消火を行なうための消火装置をいう。
- 1)取付け
- 各々の消火容器の取付けは、クラッシュ時の減速度がいかなる方向に加えられても耐えられるように取付けなければならず、
取付け方向は車体軸線に対し直角に近い状態であること。(リベット止めは禁止される)
- 金属性ストラップの付いたラピッドリリースメタル(ワンタッチ金具)の装着のみ認められる。
- 2)取付け場所
- 消火装置はドライバー等が容易に取外せる位置に取付けられなければならない。
- 3)検査
- 消火装置の型式、その容量および総重量を容器の上に明示しなければならない。粉末消火装置の場合、詰め替え年月日を明示
し、詰め替え後の有効期間は3年間とする。外部が損傷している容器は交換しなければならない。
- 4)仕様
- 1つあるいは2つの同一消火剤容器とする。粉末1.5kg以上、またはFIA国際モータースポーツ競技規則付則J項第
253条に記された消火剤および内容量を装備すること。
- 1.3.2)自動消火装置
- 自動消火装置とは、車両に固定された消火装置が、車室内とエンジンルームに対し起動装置によって同時に作動するものをいう。
- 1)取付け
- 各々の消火装置の容器は、いかなる方向にクラッシュ時の減速度が加わってもそれに耐えられるように取付けられなければな
らない。
- 2)操作 − 起動
- 2つの系統は同時に起動しなければならない。
- いかなる起動装置も認められる。しかしながら、起動系統が機械式だけでない場合、主要エネルギー源から出ないエネルギー
源を備えなければならない。
- 運転席に正常に着座し、安全ベルトを着用したドライバーが起動装置を操作できなければならない。
- 車両の外部のいかなる者も同時に操作できること。外部からの起動装置はサーキットブレーカーに接して、あるいは、それと
組み合わせて位置しなければならない。また、赤色で縁取られた直径が最小10cmの白色の円形内に赤色でEの文字を描いたマークによって表示されなければ
ならない。
- ヒートセンサーによる自動起動装置が推奨される。
- 装置はいかなる車両姿勢にあっても、喩え車両が転倒した場合でも作動しなければならない。
- 3)検査
- 消火器の型式、その容量および総重量を容器の上に明示しなければならない。
- 4)仕様
- FIA国際モータースポーツ競技規則付則J項第253条に記された消火剤および内容量を装備すること。
- 消火装置は耐火性でなければならず、また、衝撃に対して防護されていなければならない。消化剤の噴出ノズルは、ドライ
バーに直接消火剤がかかることのないように取付けなければならない。(凍傷の危険)
- 5)放射時間
- 車室内 :最短30秒/最長80秒
- エンジン:最短10秒/最長40秒
- 両方の消火器が同時に作動しなければならない。
- 1.4) ロールバー
- すべての車両に4点式以上のロールバーを装着することを推奨する。
なお、オープンカーでジムカーナ競技に参加する場合は4点式以上、ダートトライアル競技に参加する場合は6点式以上のスチール材のロールバーを取付けること。ロールバーを装着する場合、材質はスチールとし下記の規定に従うこと。
- 1)
ロールバーを取付けた状態における乗車装置は、座席面上で座席前端より200mmの点から背もたれに平行な天井(ロールバーが頭部付近にある場合はロールバー)までの距離が800mm以上であること。
- 2)
乗員の頭部等を保護するため、頭部等に接触する恐れのあるロールバーの部位は、緩衝材で覆われていること。
- 3) 乗員が接触する恐れのあるロールバーは、半径3.2mm未満の角部を有さないものであること。
- 4) ロールバーを取付けることにより、前方視界およびバックミラーによる視界を妨げるものでないこと。
- 5) ロールバーを取付けることにより乗員の乗降を妨げるものでないこと。なお、ロールバーの取付けにより後部乗員のための車内高の確保および乗降口等の確保が出来ない場合には、各運輸支局等において乗車定員変更のための構造等変更検査の手続を行うこと。
- 6) ロールバーの車体への最小取付け点数:
- (1) メインロールバーの支柱1本につき1ヶ所。
- (2) サイドロールバー(あるいはフロントロールバー)の支柱1本につき1ヶ所。
- (3) リヤストラットの支柱1本につき1ヶ所。
- @ 各支柱側の車体への取付け板は、面積60cm2、板厚2.5mm以上を有すること。この取付け板は支柱に溶接されていなくてはならない。
- A 車体側の補強板は、面積120cm2、板厚3.0mm以上を有し、第2−3図(この場合、溶接は不要)、第2−4図〜第2−17図
(この場合、全周を溶接すること)に示すように取付けること。
- B
各支柱と車体との結合には、上記6)の取付板および補強板を用い、下記7)に従いボルトオンにて取付けること。その際の取付方法については次の通りとする。
- ・ 直径8mm以上(4T以上)のボルトを3本以上使用し、緩み止め効果のあるナット(ワッシャ/セルフロッキング等)で、支柱の周辺に分散して取付ける。
- ・ メインロールバーの車体への取付板をL型にして既設の3点式安全ベルト最下端部のボルトを用いることにより、とも締めすることは可能であり、その場合該当ボルトは最小取付本数含まれる。
- C 車体と支柱側取付板とを溶接にて取付けることはみとめられない(ボルトと溶接の併用による取付も不可)。
- D ロールバーの基本構成は、2通りとする。(第2−18図および第2−19図)
- 7) ロールバーの基本取付部の車体への取付けは、連結部を含めボルトオンのみとする(P・N車両)。
- (1) メインロールバーはセンターピラーにボルトオンで取付けることが出来る。
- (2) ピラーの既存の取付部(シートベルト等)等を利用したボルトによる取付のみが認められる(車体側の加工はできない)。
- (3)
ロールバーにステーを溶接することは認められる。
- 8) ロールバーの寸法:
- ロールバーは最小寸法38mm(直径)×2.5mm(肉厚)または40mm(直径)×2mm(肉厚)以上の継ぎ目のない1本のパイプを使用すること。ロールバーの直径と肉厚は、補助バーを含め規定の寸法が適用される。
- 9) 寸法測定のためのメインロールケージの曲げ部分、または溶接部分から100mm以上離れた箇所に直径4mmの穴を1ヶ所あけ、その位置を黄ペイントで明示することが許される。
- 本項に示す寸法測定用の設置は、任意とする。
- 10) ロールバー取付けのためにダッシュボード貫通等最小限の改造が許される。
- 11) 斜行ストラット(第2−20図、第2−21図、第2−22図、第2−23図タイプ)を取付ける場合は形状を一つの補強要素として、基本ロールケージに取り付けることが認められる。ただし、ロールケージとの連結部は規定の通りボルトオンで取り付けること。
- 12) 「×」形状の部材(ドアバーを含む)については、「×」形状を一つの構成要素として基本ロールケージに取り付けることが認められる。
(第2−22図、第2−23図、第2−24図タイプ)
- 「×」形状の連結部をガゼット(guset:補強用鉄板等)により補強することが認められる。
- 13) 取外し可能な連結金具:
取り外し可能な部材がロールケージの構造として用いられている場合には、使用される取り外し可能な連結具はFIAにより承認された方式、あるいはそれに相当する方式に従っていなくてはならない(第2-25図〜第2-35図参照)。それらは溶接されていなくてはならない。ネジおよびボルトは、ISO規格の8.8または、4T以上のものでなくてはならない。
- 1.5) サーキットブレーカー
- サーキットブレーカーを装着する場合は下記規定に従うこと。
- イグニッションスイッチおよび燃料ポンプスイッチは、その位置が確認できるよう黄色で明示しなければならない。イグニッション
ス
イッチおよ
び燃料ポンプ
スイッチを変更する場合、ONの位置が上、OFFの位置が下になければならない。
- また、運転席および車外から操作できるすべての回路を遮断する各々独立した放電防止型のサーキットブレーカー(主電源回路開閉
装
置)を装備
しなければな
らない。これらはすべての電気回路を遮断できるものであり、エンジンを停止することができるものであること。その場所は外部から容易に確認できる位置と
し、赤色のスパークを底辺が最小12cmの青色の三角形で囲んだ記号で表示すること。引くことにより機能する車外操作部を持つサーキットブレーカーを運転
席の反対側のフロントウィンドシールド支持枠の下方付近に設置すること。ただし、車両の構造上フロントウインドシールド支持枠の下方付近に設置することが
不可能な場合、運転席の反対側のセンターピラーあるいはクォーターピラーの外部から操作可能な位置に装着することが許される。
- 1.6) けん引用穴あきブラケット
- すべての車両は、前後にけん引用穴あきブラケットを備えなければならない。このけん引用穴あきブラケットは、車両をけん引して
移動
するのに
取付け部分も
含め十分な強度を有していなければならない。車両が砂地に停車したときでも使用が可能な位置に取付けられていなければならない。
- 新たにけん引用穴あきブラケットを装着する場合は下記の要件を満たすこと。
- @材質は、スチール製でなければならない。
- A最小内径:50mm
- B内径の角部はRを付けて滑らかにすること。
- C板製の場合、最小断面積(取付け部分も含む):1cm2
- D丸棒の場合、最小直径10φ以上。
- E黄色、オレンジ色、あるいは赤色に塗装されていること。
- 第2条 一般改造規定
- 第1章一般規定、本章の安全規定および本章の一般改造規定で課せられている以外、全ての改造は禁止される。車両の構成要素は当初の
機能を保持しなければ
ならない。本規定によって許可されていない全ての改造は、明確に禁止される。
改造の範囲や許可される取付けは下記(第3条〜第7条)に規定される。
- 第3条 エンジン
-
- 3.1)点火装置
-
- 3.1.1)
- スパークプラグ、ハイテンションコードの銘柄、型式は自由。
- 3.2)吸気装置
-
- 3.2.1)
- フィルター:フィルターカートリッジの変更は、当所のものと同一の方式のものであれば認められる。
- 第4条 駆動装置
-
- 4.1)
- クラッチ:クラッチディスクおよびクラッチカバーは、数および直系を除き変更することができる。ただし、カーボン製の使用は認められ
ない。
- 第5条 制動装置
-
- 5.1)
- パッドおよびライニング:材質を変更することができる。但し、カーボン材は使用できない。
- 第6条 タイヤおよびホイール
-
- 6.1)
- タイヤ:当該自動車製造者発行の量産車カタログの同一車両型式に記載されるタイヤサイズの変更がなければ、銘柄は自由。
- 6.2)
- ホイール:当該自動車製造者発行の量産車カタログの同一車両型式に記載されるホイールサイズの変更がなければ、銘柄は
自
由。
- スチール製、またはJWLマークのある軽合金製(アルミ合金製、マグネシウム合金製を含む)とする。ホイールナットの材質および形状
の変
更は
許される。
- 第7条 車体
-
- 7.1)追加アクセサリー:
- 車両の美観または居住性に関する付属品(証明、暖房、ラジオ等)といった、車両の動きにいかなる影響も及ぼさない
ものは全て、
制限なく認められる。ただし、これらの付属品が、例え間接的であっても、エンジン、ステアリング、強度、トランスミッション、ブレーキ、ロードホールディ
ングの効率に影響を及ぼすことがないという条件の下に限る。
- グローブボックスに追加区画を設けたり、ドアにポケットを追加することができる。ただし、オリジナルのパネルを使用すること。
- 7.2)一般消耗品:
- 次の消耗品は、変更(同等品)が許される。
- オイルフィルター、ワイパーブレード、バッテリー、バルブ等。
- 7.3)障害者用操作装置:
- 障害者用操作装置を装着することができる。ただし、健常者は使用しないこと。
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