[2004/06/01]黙って従えば?

今春発表された2005年の全日本選手件規定の内容は、今更詳しく言うまでもなく、ライセンスホルダーなら知っていると思う。

目玉は2つ。
クラス区分の変更と、Wエントリーが可能になるという点だ。
すなわち、クラス区分は以下のようになる。

N1:1000cc以下のN車両
N2:1000ccを越える前輪駆動のN車両
N3:1000ccを越える後輪駆動のN車両
N4:1000ccを越える4輪駆動のN車両
SA1:1600cc以下の2輪駆動のSA車両
SA2:1600ccを越える2輪駆動のSA車両
SA3:4輪駆動のSA車両
SCクラス:SC車両
Dクラス:D車両

現在発表されている中で、明らかになっているのはこの点のみである。つまり、N車両、スピード車両それぞれの車両規定の改正については、また改めて発表されるようだ。
だから、この選手権規定変更にともなって、どういう車両規定の改正が行われるのか、現時点ではまったく分からない。

このクラス区分変更は、事実上車両規定の変更に等しいくらい大きな影響があると僕は思う。
一番大きいのは「SA車両の復権」だろう。
現在のN車両メインの車両規定への変更は、ジムカーナは改造度の低いN車両とナンバーなし車両に、将来的には移行して行く、という強いメッセージ性のもとに行われていた。
したがって旧来の「A車両」の移行猶予措置の色合いが大きかった「SA車両」は、ナンバーなしの「SC車両」と同クラスに区分され、半ば「迫害」(笑)とも言える状況に追いやられていた。

しかし発表されたクラス区分は、SA車両のクラスが独立し、ナンバーつき車両はN車両とSA車両の2種類が存在することとなる。
一方、SC車両は駆動区分も排気量区分もなく1クラスにまとめられた。
上記の通り、現時点では車両規定の変更は発表されていない段階なので、今後このクラス区分に対応して何らかの変更が発表される可能性が高いが、見る限り四駆以外のSC車両は完全に活躍の場を奪われているように見える。

すなわち、現行車両規定の「主旨」を事実上ひっくり返す意味を、このクラス区分変更は持っている。
たかだかクラス区分変更だが、ちょっとビックリする変更なのである。

さて、この選手権規定の発表にともない、予想されたことながら各方面からいろんな意見が聞こえてくる。
僕のように「SA車両復権バンバンザイ」という人は極めて少数派で(笑)、ほとんどの意見は以下のようなものだ。

「たった2年で事実上車両規定変更に近い大幅変更を行うとは何事か!」
「一貫性のないJAF自体の姿勢に疑問を感じる。」
「エントラント不在のJAFの体質は問題だ。」

ごもっともな意見だ。
僕も同様の意見は持っている。

しかし、僕がもっと違和感を感じるのは、こういう意見を言っているエントラントの方である。

上記のような意見を声高に叫んでいる人は、N車両クラスの選手かSC車両の選手だと思うのだが、これらの選手の中には、2年前、同じようなことを言っていた僕を批判した人も含まれているからだ。

僕は2年前、N車両規定メインの車両規定変更に、強い反発感を持っていた。
今でも基本スタンスは変わっていなくて、それは「[2004/03/14]もう無理だってば。」に書いた通りだ。

当時、同様な意見を言っていた僕に対して、N車両推進派のある人はこう言った。

「JAF公認競技に出場して戦いたいのなら、JAFの定める規定に黙って従うのが当然だ。
 それがいやならとっとと辞めてJAFと関係のない競技をやれば良い。」

お説ごもっとも。
僕もライセンスホルダーとして耳が痛く感じたことを覚えている。
だからこそ今僕は問いたいと思う。

「黙って従えば?」




今回のクラス区分変更の裏には、JAFに対してSA車両の復権を熱心に働きかけた人たちがいたのだ。僕は事後的にだがそういう人たちのことを知った。
意見は公にしなければ意見ではない。ヤジである。
JAFがヤジを正式に議論の対象にするはずもないし、そもそも耳に入らない。
だから、きちんと正式な手順で正式な場で、自分たちの意見を取り上げてもらうよう動いた人たちがいて、その意見が採用されたのならば、それは「一貫性」もあるし、「エントラントの意見」も反映されているといえるのではないのか。

SA車両復権を願って働きかける人がいたなら、「いや、絶対今のままの規定の方がいい」と、同様に正式な形で意見を上げた人はいたのか。

いなかったのならそもそも批判する立場にはないと思うし、いたとしたならば、なおさらそれは議論の結果決定されたことなのだから、やはり言えることはひとつ。

「黙って従えば?」


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