2/1の21時からのNHKスペシャルで、イラクに派遣される可能性の高い自衛隊のある部隊を取材していた。
大河ドラマ「新撰組」の後だから、そのまま観てたのだ。
最初に派遣されるのは北海道の部隊だが、取材先はその次に派遣される可能性が高いとされている東北の部隊だった。 その部隊の訓練内容や、実際の自衛官の思うところを自衛官自身の口から伝えられていたのが、非常に印象的だった。
この部隊では、国土に侵略してくる軍隊を相手にする「野戦」を想定した従来の訓練とは別に、市街や家屋での対テロを意識した戦術の訓練を行っていた。今まで自衛隊自身が、まったく対象外だった分野を想定した訓練だ。 動きが非常にぎこちない。 「大丈夫かいな」 観ているこちらが心配してしまう。
その点は、彼ら自身が一番分かっているようだ。
「練度があれだけ高いアメリカ軍でさえ、毎日のように死んでいる。 ましてや我々のような練度では、不安を覚える。」
当然である。 想定したことのないシチュエーションに、本来そのためにあるわけではない組織を送りこむのだ。そのためににわか訓練を施したところで、プロにはなれない。
そして思わず噴飯ものだったのが『法解釈』に場面が及んだ時である。 防衛庁から官僚らしき人間が迷彩服を着てやって来て、部隊の幹部にイラク派遣に関わる法解釈の抗議をしている。
「誰が撃ったか分からないが、銃撃された。その方向に反撃した。 後で確認すると、倒れていた人の回りには武器はなかった。 始めから違っていたのか、仲間が武器を持ち去ったのか分からない。 こういう場合はどうなるのか?」
「これがまさしく“誤想”の好例だ。 相手を特定して、特定した相手以外には正当防衛としての発砲はできない。」
「相手に危害を及ぼした者は、日本の裁判所で、日本の法律によって裁かれる。」
僕だったらヘソ曲げるね。
武器なんぞあってもなんの役にもたちゃしない。
撃たれたら、撃たれた相手が分かるなら撃ってもいいよホトトギス・・・
バカヤローである。
野党や大多数の国民の反対を無理矢理押しきって、とりあえず形だけでも兵力を出して、アメリカにおもねろうとした結果がこれだ。 派兵に及んで、我々一般国民が負担するのはたかだか「税金」だ。 しかし、実際派遣される自衛官は、税金納めた上に命まで払えって言われてるのだ。
それが仕事じゃねーか。
そう思うミリタリーマニアは、インタビューに答えた自衛官幹部の声をきくといい。
「必要な場面になって、撃てと命令することは簡単だが、 相手を殺したなら、その相手にも悲しむ家族がいる。 たとえそれが正当だとしても、その罪の意識にそれから一生苛まされ続けろ、という命令を できるなら下したくない。」
自分は安全な場所でのうのうと変わらぬ日常を生き、政治ゲームに明け暮れ、「必要な訓練を受けているのだから、一般人が行くのとはワケが違うのだ。」と無知を振りまわす首相と、 ただの軍事マニアの防衛庁長官より、 生死を目の前につきつけられている一兵士の方が、よっぽど『人間』なのだ。
「国民を守るためなら、それは結局自分の家族を守ることになるのだから、それなら血を流すことは厭わないが、他の国に押しかけて行って血を流すのは、どうかと思う。」
この国のことを、 家族のことを、 一番リアルな視線で思っているのは、宰相ヅラしたライオン丸ではないことだけは、 ハッキリしている。
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